01 Circadian

端的な対訳をお望みの方には邪魔くさいのを承知で歌詞の解釈をだらだら長く語ってみる試み。できれば原文のニュアンスも感じて欲しいと思ってのことなんだけど目標が達成できているかどうかは謎。そしてこれがいつまで続くかも謎。一応ひと通りの訳は全曲終わってるんだけど、細かいところに拘り始めるときりがない。
この解釈はあくまで私の感じたことであって、答えはひとつじゃない場合もある。文法や単語はなるべく正しく理解するように努めたけど果たして…。(Davidのこれまでの経験とかも考え合わせるともっと突っ込んだ解釈もできるのでは、と思う部分もあったけど、そこは各自の想像に任せるということで。)
*歌詞はブックレットに準じてます。(繰り返し部分は省略)

1.サーカディアン (アルバム『This Loud Morning』より)
(注*circadian=「24時間周期の」)
作詞作曲:David Cook, David Hodges, Neal Tiemann

Who's to say you're never wrong / Who's to say that I'm not already gone / Who's to say the time inside your head / Keeps running on and on and on...
君が間違えないって誰に分かるんだろう。僕がまだ立ち止まったままって誰に分かるんだろう。君の頭の中の時間が進み続けているって誰に分かるんだろう。
(注*Who's to say...は、「誰に分かるんだろう?いや、誰にも分からない」、つまり反語になっている。色々調べると、Who can say...とほぼ同じ意味っぽい。)(already goneはどこに行くのか具体的に書かれてないけど、たぶん何か問題があって、それに対してまだ諦めてない、まだそこにいるよ、みたいな気持ちかなと思う。)(君の頭の中の時間が進む、というのがどういう意味なのか、これも解釈は色々あると思うけど、自分はここにまだ立ち止まっているけど、君は先へ進んでいるかも、ということかな?)(間違ってるかも知れない、既に去ってるかも知れない、時間が止まってるかも知れない。どっちの可能性もあるよ。)

Who's to say we'll make it through / I'm starting to believe that what we think is never true / Who's to say the rhymes beside your bed / Will keep you warm when everything is getting colder / And I'm just holding on until it's over
僕たちがやり遂げるって誰に分かるんだろう。真実じゃないと思っていたことを僕は信じ始めている。すべてを凍えさせる寒さの中でも、ベッドの傍に置いた詩が君を暖めてくれるって誰に分かるんだろう。そして、僕はギリギリまで踏みとどまる。
(注*全体的に漠然とした表現が多いので、訳すのも難しい。make it throughが何を指してるのか?たとえば二人の関係かもしれないし、何かの仕事かもしれない。rhymesになるとさらに漠然としすぎて何とも言えない。)(I'm starting to believe...のところは、「僕たちが考えていることは真実じゃなかったと、僕は信じ始めている。」と最初は書いてたけど修正。「what we think is ○○」という形で「自分たちが○○と考えるもの」という表現になるらしい。このときweは広く世間一般の意味で使われることもあるみたいだけど、この文脈ではどうなんだろうなあ。普通なら真実ではないと思うことだけど、自分は信じて始めている、過去の自分は「we」に含まれるけど今は違う、真実ではないと思っていたのは過去のこと、という風に捉えて、英文は現在形なのに訳文は過去形という形に落ち着いた。解釈が正しいかどうかは謎。)(詩のところはrhymes will keep you warmという形。)(holding on until it's overは直訳すると「終わるまで踏ん張り続ける」、最後まで諦めないということかな?hold onは「待つ、耐える、持ちこたえる」とか、ある状態を保持しようとする、そういう意志を感じる言葉。)(もうだめかも知れない、自分は間違っていたのかも知れない、詩は何の役にも立たないのかも知れない。)(一つ前のパートと内容的に対比になってるのかな?)

Mayday / Somebody save me now / I'm closing my eyes / Cause once the sun rises / It's out of my hands
助けて。誰か、今すぐ僕を助けて。太陽が昇れば問題は僕の手に負えなくなってしまうから、目を閉じよう。
(注*Maydayという単語は初めて知ったんだけど、遭難した船や航空機が発する救難信号らしい。)(nowは、助けが欲しいのは「今」なんだ、という差し迫った感情をあらわしてるんじゃないかな?)(onceは一旦○○してしまったら…)(out of my handsは「自分では管理できない状態になっている」という意味なので、out of controlみたいなものかな?ということで、「手に負えない」と訳した。主語(it)は太陽かな?とも思ったけど、今抱えてるトラブルとも取れるかなと。)(これがさんざんインタビューで語っていた、朝、目が覚めたときに現実と向き合いたくなくてもう一度ベッドに潜り込みたくなる、というやつだろうか)

Who's to say this history / Isn't only just some winner's distant memory / You can't escape this drying ink / The fall of who we are is getting closer / And I'm just holding on until it's over
この歴史が一握りの勝者だけの遠い昔の記憶じゃないなんて誰に分かるんだろう。インクが乾いて歴史が確定してしまうのを避けることはできない。僕たちの関係の終わりは近づいている。そして、僕はギリギリまで踏みとどまる。
(注*歴史というのは、その時代その時代の為政者が都合のいいように記録に残したり、都合の悪い過去の記録を消したり書き換えてしまったりしている、という考え方があるので、そのイメージなのかな?)(not only just〜のところは「敗者の歴史もある」ということを暗示しているのかな?または、勝者の歴史でしかないという意味なのかも?どっちか判断に迷うところ。それに対して、Who's to say?と疑問を投げかけている。)(drying inkは、紙に書いた文字がインクが乾くことで消せない事実として確定する、インクが乾く前だったらまだ消せる?みたいなイメージかな、と思う。あくまでイメージなので、あんまり深く突っ込まないで…)(the fall of who we areは、ぶっちゃけ日本語にできない。who we areは「私たちはこういう人間であるという像」とでも訳したらいいのかなあ。たとえばI know who I am.は「自分自身がどういう人間か理解している」みたいな意味になる。fallは「崩壊」と解釈して、「崩壊が近づきつつある」、何の崩壊か?二人のアイデンティティの崩壊?それよりはむしろ、二人が一緒に居ることで確立される何かが崩壊するのかな?という風に考えていった結果、上記の表現になった。)

Mayday / Somebody save me now / I'm cutting all ties from the world outside / Cause it's over my head
助けて。誰か、今すぐ僕を助けて。僕は外の世界との繋がりをすべて断ち切るつもりだ。だって僕の頭はいっぱいいっぱいだから。
(注*over my headは「自分には理解できない、話についていけない、自分の能力を超えている」、そんな意味で使われる。世界との繋がりを断ち切る理由は、これ以上世界から色んな情報が入ってきても処理しきれないから、という風に私は理解してます。)

It's all coming undone and falling apart somehow / I'm closing my eyes / Cause once the sun rises / It's out of my hands
どうやらすべては失敗で、崩壊してしまいそうだ。太陽が昇れば問題は僕の手に負えなくなってしまうから、目を閉じよう。
(注*undoneは「なされていない状態」、come undoneで「破滅する」「失敗する」または「ほどける」となるらしい。結局何も成し遂げられなかった、という気持ちかな?fall apartには「ばらばらになる」という意味もあるので、なんとなくこの二つの表現が続くことで、ある程度形になっていたものがおじゃんになるような、そんなイメージが浮かぶ。)

The light pulls me under / And I keep on cavin' in
光が僕を引きずり出す。僕は屈服し続ける。
(注*underの後には本来何かの言葉が続くはず。何の下に引きずり出すのか?それは書かかれてないけど、文脈からすると光の下へってことだろうなあ。)(cave inは「屈する」という意味合いで使われるのをよく見るんだけど、caveが「洞窟」なのに何故?と前から不思議だった。そこで今回、ちょっと真面目に考えてみた。cave inには空間を囲むもの(天井とか壁)が外から中に向かって崩れるようなイメージがあるっぽい。それが内側から爆発して崩れるというよりは外からの圧力に負けるというニュアンスになって、屈服とか降参という意味が生まれるのかな。この歌詞に当てはめると、つまり、光という外部の力によって自分自身の内面を守る壁を崩される、ということかなと。)